なかのにっき

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2003年07月02日(水) [n年日記]

#1 [dept] 工学研究報告校正結果

sent with some many complaints.

#2 今日のビジネス英会話

hard headed 実際的な、感情に左右されない、冷静な、頑固な、石頭の
Do you have any transportation? 「(お帰りの) 乗り物はありますか?」
I'd better get going. 「そろそろ行かないと」

#3 [labo] シリコン基板

東京商館に断りのメール。 この反応で今後の付き合い具合が決まるな :-)

#4 Seki's Diary 復活

おかえりなさいませ。 こっち については、単に 1 年間エントリをそのまま放ってあっただけだったり(w

#5 [labo] ESCA たち上げ

ファラデーカップ導入。ステージの受け入れ位置はひとまず ということで。

#6 帰り

原付。ちょうど雨の止み間で助かった。

#7 [Windows] EdMax, WeMail32など複数のWindowsメーラにセキュリティホール

Winbiff は 2.42PL2 以降で fix 済みか。

#8 行き

原付き。晴れ。ねむい。

#9 [labo] 4 年輪講

戸梶さん・中田君。いずれも半導体のバンド構造について。 来週はお休み、卒研に向けてのレポート提出ということに。

#10 [dept] 大学院特別講義

3 限、「分子エレクトロニクスへの挑戦」というタイトルで塚田先生。 大変おもしろかった。

最初 STM のことから。まず先端形状による像の変化、 Ag/Si(111) のトライマーの件など、これらは自分が学生の頃に読み聞きしたお話。 続いて tip bias による原子引き抜きについて。 tip (Al) に対して subst. (Si) を正に bias すると、先端の Si 原子がカチオン化、 tip 周りの electron dens. が増えて二重層ができ、 引き抜きのバリアが下がるとのこと。 負にバイアスした場合は、アニオン化は起こりにくいので バリアはあまり変わらない *1 という結果。

ついで金属の量子細線におけるコンダクタンスの量子化。 Au 細線を引っ張って細くした時の実験結果が有名だが、 この件に関する理論面からの解釈について。 Recursion Transfer Matrix Method という計算手法を用いるそうなのだが、 おそらく入力・出力の電子波を展開、係数行列を対角化して入射・反射・透過の 固有関数に分解、そのときの対角成分の自乗が透過係数に対応する、 ということをやっている *2 らしい。 そのとき前にのる係数が 2e^2/h になるそうで、 なのでこの透過係数が 100% に近いような場合は、 次々にチャネルが空くことによってコンダクタンスがステップ状に変化する、 と理解できる。 ただし透過係数は必ずしも 0% / 100% に近くなるものではない。 Al, Na などに関する計算例など。

次、Si 上に作ったナノワイヤの電子系について。 例えば H 終端 Si 表面の H を電圧ではがして dangling bond のチャネルを 作ったりすることが実験的には可能なそうなのだが、 ここに例えば As と K をうまく着けてあげると、 幅の狭いバンドが半分満たされたような状況を作ることができるらしく、 理論的には強磁性を持たせることが可能かもしれない、らしい。

分子架橋における I-V 特性。 特にベンゼン環を持つ分子では、 内部ループ電流が誘起されるという理論的予測があり、 これによって magnetic moment を持たせることができるかもしれない、とのこと。 例えばフラーレンとかだと、適当な入力・出力チャネルを作って このループ電流をみてみると、m.m. が一平面上に乗る *3 ような結果が得られたりするらしい。

カーボンナノチューブの電気伝導。 CN ではグラファイトに円筒方向での周期性が入ることにより、 そっち方向の波数が量子化される。 これをグラファイトの 2D E-k 図と比較すると、 電気伝導に寄与する K 点をこの許容波数が横切るかによって、 metal となるかどうかが決まるらしい。 螺旋型のチューブ (五員環と七員環が適当に混ざる) の伝導性もこのような切断→グラファイトへの展開によって理解でき、 このへんからナノチューブドーナツの電流についても関連付けて議論。 NC 系では、ある程度以上の磁場をかけると AB 効果によって電子の波数の位相が shift し、 ループ電流の片方が死んで永久電流が流れたりする現象も予測されているとのこと。

最後にチャネル途中で位相情報が失われてしまうような伝導 (coulomb blockade とか単電子トランジスタとかのアレ) に関してもちょっと紹介があった。

以上眺めてくると、塚田先生の一連のお仕事が、 「量子サイズ構造における電流」 という太い流れに沿って行われていることがわかる。 こんな風に得意分野を生かしつつ、 最先端の成果を生み出しつづけているのはやはりすばらしいなあ、 というのが感想。

ちなみに若林学部長も聴講されていたのだが、 お二人は同級生だったらしい。うひひ。
*1: むしろ計算上は上がることもあるが、 この簡単な説明はまだついていないとのこと。
*2: 理解が間違っているかもしれないが、 ここに書いておけば今度佐々木先生が教えてくださると期待 :-)
*3: 何らかのベクトルとの内積が一定になる条件とかがあるのかしら。

#11 [labo] シリコン基板

ワカテックから到着。 千代田交易さんは担当の清水さんが直接持ってきてくれて、 いろいろとぶっちゃけた話を聞かせてもらった。 コマツ方面からも電話があったが、 今回は決めちゃった旨お返事。 今後もあるのでカタログ等を送っていただくようにお願いした。

#12 [labo] ESCA イオン銃あわせ

B.E.	Cond.L	Obj.L	PosX	PosY	Cur(nA)
500eV	322	449	-1.5	-0.5	6.16
1 keV	150	320	-1.1	-0.9	15.2
2 keV	082	232	-1.8	-1.4	34.1
3 keV	060	209	-1.0	-1.6	55.8
4 keV	054	206	-1.0	-1.2	81.2
という感じで。 前回 前々回 に比べて電流が少ないのが気になるが。

#13 [labo] Ni 合金のγ測定(1)

SSMC からの依頼。藤本君と。 まず pure Ni。clean 表面を出すまでに、 3keV Raster(X=4 Y=3) で 10min のスパッタ、 その後測定。BE 1keV で 150pA とか *4 なので、500eV の測定はとりあえずパス。 だいたい γ=0.3〜0.4 程度の値にはなっているようだが、 他のサンプルと有意な差が出るかどうかは他を見てみないとわからんな。

明日測定する pure Nb を入れて撤退。
*4: これも MgO やってた頃の一次電流に比べると半分くらいなのだが…
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中野武雄 (NAKANO, Takeo) <nakano@st.seikei.ac.jp> Since 1999-10-07
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