#include <sys/mman.h>
void *mmap(void *start, size_t length, int prot, int flags,
int fd, off_t offset);
int munmap(void *start, size_t length);
start が NULL の場合、カーネルがマッピングを作成するアドレスを選択する。 この方法は最も移植性のある新しいマッピングの作成方法である。 start が NULL でない場合、カーネルはマッピングをどこに配置するかのヒントとして start を使用する。Linux では、マッピングは (アドレスが大きくなる方向で) すぐ次のページ境界に作成される。 新しいマッピングのアドレスは、呼び出しの返り値として返される。
ファイルマッピングの内容は、 ファイルディスクリプタ fd で参照されるファイル (もしくは他のオブジェクト) のオフセット offset から開始される length バイトのデータで初期化される (ファイルマッピングは無名マッピングの反対語である。 MAP_ANONYMOUS を参照)。 offset は sysconf(_SC_PAGE_SIZE) が返すページサイズの倍数でなければならない。
引き数 prot には、マッピングのメモリ保護をどのように行なうかを指定する (ファイルのオープンモードと矛盾してはいけない)。 prot には、 PROT_NONE か、以下のフラグをひとつ以上ビット毎の論理和 (OR) をとったものを 指定できる。
flags 引き数により、マッピングに対する更新が同じ領域をマッピングしている 他のプロセスに見えるか、更新がマッピング元のファイルを通じて 伝えられるか、が決定される。この動作は、以下の値のいずれか一つだけ (複数は指定できない) を flags に含めることで指定する。
上記の二つのフラグは POSIX.1-2001 で規定されている。
さらに、以下の値のうち 0 個以上をビット毎の論理和 (OR) で flags に指定することができる。
上記のフラグの中では、 MAP_FIXED だけが POSIX.1-2001 で規定されている。 しかしながら、ほとんどのシステムで MAP_ANONYMOUS (またはその同義語である MAP_ANON) もサポートされている。
いくつかのシステムでは、上記以外にフラグとして MAP_AUTOGROW, MAP_AUTORESRV, MAP_COPY, MAP_LOCAL が規定されている。
mmap() によってマップされたメモリの属性は fork(2) の際に継承される。
ファイルはページサイズの整数倍の領域にマップされる。サイズがページサイズの 整数倍でないファイルの場合、マップ時に残りの領域は 0 で埋められ、この領域へ 書きこみを行ってもファイルに書き出されることはない。マッピングを行った元 ファイルのサイズを変更した場合、元ファイルの追加されたり削除された領域に対応 するマップされたページに対してどのような影響があるかは規定されていない。 システムコール munmap() は指定されたアドレス範囲のマップを消去し、 これ以降のその範囲内へのメモリ参照は不正となる。 この領域は、プロセスが終了したときにも自動的にアンマップされる。 一方、ファイル記述子をクローズしても、この領域はアンマップされない。
start アドレスはページサイズの整数倍でなければならない。指定された範囲の一部分を 含む全てのページはアンマップされ、これ以降にこれらのページへの参照があると SIGSEGV が発生する。 指定した範囲内にマップされたページが一つも含まれていない場合でも エラーにならない。 ファイルと関連付けられたマッピングの場合、マッピングされたファイルの st_atime フィールドは、 mmap() されてからアンマップ (unmap) されるまでの間に更新されることがある。 それまでに更新が行われていなければ、マップされたページへの最初の参照があった 際に更新される。
PROT_WRITE と MAP_SHARED の両方を指定してマップされたファイルの場合、書き込みがあると、 st_ctime と st_mtime の両フィールドは、マップされた領域への書き込みより後で、 MS_SYNC または MS_ASYNC フラグを指定して msync(2) が呼ばれる前までに更新される。
マップ領域を利用する際に、以下のシグナルが発生することがある:
(x86 などの) いくつかのアーキテクチャでは、 PROT_WRITE をセットすると、暗黙のうちに PROT_READ がセットされる。 PROT_READ をセットした際に暗黙のうちに PROT_EXEC がセットされるかどうかは、アーキテクチャ依存である。 移植性を考慮したプログラムでは、 新規にマップした領域でコードを実行したい場合は、常に PROT_EXEC をセットすべきである。
2.6.7 より前のカーネルでは、 prot に PROT_NONE が指定された場合にのみ、 MAP_POPULATE フラグが効力を持つ。
SUSv3 では、 length が 0 の場合、 mmap() は失敗すると規定されている。しかしながら、2.6.12 より前のカーネルでは、 この場合に mmap() は成功していた (マッピングは作成されず、 start が返されていた)。 カーネル 2.6.12 以降では、 mmap() はエラー EINVAL で失敗する。
以下のプログラムは、一番目のコマンドライン引き数で指定された ファイルの一部を標準出力に表示する。 表示する範囲は、二番目、三番目のコマンドライン引き数で渡される オフセットと長さで指定される。 このプログラムは、指定されたファイルの必要なページのメモリ・ マッピングを作成し、 write(2) を使って所望のバイトを出力する。
#include <sys/mman.h>
#include <sys/stat.h>
#include <fcntl.h>
#include <stdio.h>
#include <stdlib.h>
#include <unistd.h>
int
main(int argc, char *argv[])
{
char *addr;
int fd;
struct stat sb;
off_t offset, pa_offset;
size_t length;
ssize_t s;
if (argc < 3 || argc > 4) == 0) {
fprintf(stderr, "%s file offset [length]\n", argv[0]);
exit(EXIT_FAILURE);
}
fd = open(argv[1], O_RDONLY);
if (fd == -1) {
perror("open");
exit(EXIT_FAILURE);
}
if (fstat(fd, &sb) == -1) { /* To obtain file size */
perror("fstat");
exit(EXIT_FAILURE);
}
offset = atoi(argv[2]);
pa_offset = offset & ~(sysconf(_SC_PAGE_SIZE) - 1);
/* offset for mmap() must be page aligned */
if (offset >= sb.st_size) {
fprintf(stderr, "offset is past end of file\n");
exit(EXIT_FAILURE);
}
if (argc == 4) {
length = atoi(argv[3]);
if (offset + length > sb.st_size)
length = sb.st_size - offset;
/* Can't display bytes past end of file */
} else { /* No length arg ==> display to end of file */
length = sb.st_size - offset;
}
addr = mmap(NULL, length + offset - pa_offset, PROT_READ,
MAP_PRIVATE, fd, pa_offset);
if (addr == MAP_FAILED) {
perror("mmap");
exit(EXIT_FAILURE);
}
s = write(STDOUT_FILENO, addr + offset - pa_offset, length);
if (s != length) {
if (s == -1)
perror("write");
else
fprintf(stderr, "partial write");
exit(EXIT_FAILURE);
}
exit(EXIT_SUCCESS);
} /* main */